伝染禍

浸透し巣食う鬼に
忌とましき伝染禍
隔離され離れ小屋
袖は吐汚に黒く

空蝉の身が想世へ
次の次の仔に繋ぐ紅
事切れる其の前に
月の明かり頼り

ただ1つ 伝えたい
逢いたくて 逢いたくて

母を呼ぶ声がする
大好きな声

唇を噛む度に 滲み出る喪失
引き裂かれ咽び泣く幼子を見ていた
今もまだ泣きじゃくり差し伸べたその腕
掴む事出来なくて別れさえ言えずにいる