──ようこそ、
   お参りくださいました──

美しく儚い世界、隠り世へと誘われた
とある少年の異世界奇譚。

✿お借りした楽曲✿

本編使用楽曲
「忘れじの言の葉」
未来古代楽団 feat.安次嶺希和子

ED使用楽曲
「はじまりのまえ、おしまいのあと」
未来古代楽団 feat. DAZBEE
https://www.youtube.com/watch?v=DSy9D8i51dw

✿隠り世奇譚/設定資料✿
https://www.pixiv.net/artworks/116206455

✿Prologue✿
雪がしんしんと降る冬の日、ある一人の少年が隠り世へと誘われた。
真冬には似つかわしくない暖かな風と、春のような優しい光を瞼越しに感じる。

瞼を開け、重たい体を起こし、辺りを見渡す。
見渡した辺り一面は満開の桜が咲いており、桜並木のようになっていた。
どうやら、桜並木の終着点は神社に繋がっているようだった。
明らかに現ではない幻想的な光景を訝し気に眺めていると、後ろから知らない少女の声がした。

「ようこそ、お参りくださいました。」

突然の背後からの声に驚き、そちらへと振り返る。
そこには巫女装束を纏った少女が目を細め、ものさみし気に笑っていたのだった。

ここは隠り世、死後の世界。
そう告げられた時、絶望や恐怖よりも、安堵を覚えた。
もう全て終わったのだと。
やっと、あの生き地獄から開放されたのだと。

来世を代償に、なんでも願いを叶えられる。
そう言われ、考え込んだ。
来世を代償にしてまで、叶えたい願いなんてなかったから。
「願いを持たぬ不帰の客、貴方をうちで雇いましょう。」
少女の思いつきによって決められた自分の今後を不安に思いつつも、差し出された少女の手を取ってしまったのだった。

✿制作意図✿
「ようこそ、お参りくださいました」
ある巫女の一声から始まるこの物語は、私が幼い頃から考えている創作の一つです。
この創作は、私の考える死後の世界を描いているもので、私が人生を通して見てきた「美しいもの」「儚いもの」「好きなもの」など、ポジティブな感情を世界観に投影し、描写しています。
この創作を通し、私が今まで感動してきたものが少しでも、受け取る側の皆様に伝われば幸いです。

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