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ぜんぶ、同じ脈 〜Side B〜

Aug 20, 2026 ___sakasama___

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[Intro]

午前(ごぜん)零時(れいじ)
スタジオの裏口(うらぐち)
赤(あか)いランプが消(き)えて
録音機(ろくおんき)だけ まだ起(お)きてる

靴底(くつぞこ)で
白線(はくせん)をひとつ踏(ふ)む

カチ
カチ
カチ

信号(しんごう)が
誰(だれ)もいない道(みち)を数(かぞ)えてる

[Verse 1]

コンビニの冷蔵庫(れいぞうこ)
低(ひく)い音(おと)で唸(うな)ってる

閉(し)まりかけのシャッター
金属(きんぞく)の擦(す)れる音(おと)

交差点(こうさてん)の向(む)こう
タクシーが一台(いちだい)曲(ま)がる

ウインカー
二回(にかい)
三回(さんかい)

その隙間(すきま)に
誰(だれ)かの咳(せき)が入(はい)った

イヤホンはしてない
今夜(こんや)はそのまま聴(き)きたい

名前(なまえ)のない音(おと)ほど
消(き)えるのが早(はや)いから

[Pre-Chorus]

踏切(ふみきり)が鳴(な)る

遠(とお)くで
自転車(じてんしゃ)のベル

マンホールの上(うえ)を
スニーカーが叩(たた)く

別々(べつべつ)だったはずなのに

四(よっ)つ
八(やっ)つ
十六(じゅうろく)

気(き)づけば全部(ぜんぶ)
同(おな)じ場所(ばしょ)にいる

[Chorus]

ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)
ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)

電車(でんしゃ)も
足音(あしおと)も
私(わたし)の呼吸(こきゅう)も

ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)
ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)

街(まち)は大(おお)きな身体(からだ)みたいに
午前(ごぜん)零時(れいじ)を吸(す)い込(こ)んだ

私(わたし)が街(まち)を
聴(き)いていたんじゃない

街(まち)のほうが
私(わたし)を鳴(な)らしていた

[Verse 2]

高架下(こうかした)
濡(ぬ)れたアスファルト

青(あお)い自販機(じはんき)が
小銭(こぜに)みたいに光(ひか)ってる

缶(かん)コーヒーを一本(いっぽん)
買(か)わずに通(とお)り過(す)ぎる

右手(みぎて)の録音(ろくおん)ボタン
親指(おやゆび)だけが迷(まよ)ってる

止(と)めれば
ただの夜(よる)になる

残(のこ)せば
もう戻(もど)れない夜(よる)になる

さっきまで
他人(たにん)だった雑音(ざつおん)が

ひとつずつ
私(わたし)の中(なか)へ入(はい)ってくる

[Pre-Chorus]

排気口(はいきこう)の低音(ていおん)

階段(かいだん)を
駆(か)け下(お)りる靴(くつ)

遠(とお)くの救急車(きゅうきゅうしゃ)が
細(ほそ)い線(せん)を引(ひ)いていく

知らない人(ひと)の笑(わら)い声(ごえ)

それさえ
拍(はく)の中(なか)

誰(だれ)も合わせてないのに

どうして
ずれないんだろう

[Chorus]

ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)
ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)

エアコンも
改札(かいさつ)も
私(わたし)の歩幅(ほはば)も

ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)
ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)

街(まち)は見(み)えない胸(むね)の奥(おく)で
何千個(なんぜんこ)もの夜(よる)を打(う)つ

私(わたし)が街(まち)を
聴(き)いていたんじゃない

街(まち)のほうが
私(わたし)を鳴(な)らしていた

[Bridge]

録音(ろくおん)の波形(はけい)を
画面(がめん)で見(み)る

小(ちい)さな山(やま)が
何百個(なんびゃっこ)も並(なら)んでる

トラック
笑(わら)い声(ごえ)
踏切(ふみきり)
ヒールの音(おと)

どれが私(わたし)か
もう分(わ)からない

それでいい

たぶん
最初(さいしょ)から

分(わ)ける必要(ひつよう)なんて
なかった

あなたがいなくなった夜(よる)だけ
街(まち)の音(おと)が大(おお)きすぎた

[Break]

ピッ

録音(ろくおん)停止(ていし)

一秒(いちびょう)だけ
完全(かんぜん)に静(しず)かになる

――ような気(き)がした

次(つぎ)の瞬間(しゅんかん)

冷蔵庫(れいぞうこ)
エンジン
信号(しんごう)
足音(あしおと)

また
動(うご)き出(だ)す

[Final Chorus]

ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)
ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)

知らない声(こえ)も
遠(とお)い電車(でんしゃ)も
私(わたし)の沈黙(ちんもく)も

ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)
ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)

誰(だれ)かが眠(ねむ)る
誰(だれ)かが走(はし)る

その全部(ぜんぶ)を乗(の)せたまま
街(まち)は止(と)まらない

私(わたし)が街(まち)を
聴(き)いていたんじゃない

街(まち)のほうが
私(わたし)を鳴(な)らしていた

ぜんぶ 同(おな)じ脈(みゃく)

ぜんぶ
同(おな)じ脈(みゃく)

[Outro]

午前(ごぜん)一時(いちじ)十二分(じゅうにふん)

録音機(ろくおんき)を
コートのポケットに入(い)れる

信号(しんごう)が
青(あお)に変(か)わる

一歩(いっぽ)

また一歩(いっぽ)

私(わたし)も
その中(なか)にいる

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