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Xの輪廻

「誤り」と「後悔」を象徴する“バツ印”をテーマに、
抜け出せないループや自分自身との葛藤を表しています。
歪んだ愛の残骸と、それでも前へ進もうとする強い衝動が交差する物語。
女性ボーカルの冷たさと儚さが、楽曲のダークで切ない世界観を示す。

「バツの迷宮」

 目を開けると、そこは無数の赤と白の光が点滅する回廊だった。壁一面に描かれた「×」印は、まるで生き物のようにうごめき、私を試すかのように進む道を閉ざしていた。

 足元には黒いタイルが敷き詰められ、その一枚一枚に「選ばなかった答え」の影が沈んでいる。過去に吐き出した言葉や、逃げた約束の断片。触れるだけで心臓を締め付ける痛みが蘇る。

 ――また間違えた。
 頭の奥で声が響く。

 私は歩くたびに、自分の鼓動と光の点滅がずれていくのを感じた。リズムを失った世界の中で、正しい道を見つけることはもはや不可能に思えた。それでも足を止めれば、背中に刻まれた「消せない印」が熱を帯び、逃げ場がないことを突きつけてくる。

 迷宮の中心に近づくほど、壁の「×」印は濃く滲み、血のように赤く染まっていった。そのたびに私は、かつて愛を信じた場所に立ち返り、幻を追いかける自分を見せつけられる。過去と未来の境界線はねじれ、何度も同じ場面を繰り返す。

 「このループを切り裂く方法を――」

 祈るように呟いた瞬間、耳元で囁く声がした。影のように纏わりつくその声は、「答えはお前の中に」と告げる。しかし手を伸ばしても、その答えは霧のように掴めず、再び足元にバツ印を刻むだけだった。

 やがて迷宮の最奥で、巨大な「×」の扉が現れる。扉の中心には、私と同じ印が刻まれている。それは運命の呪いの象徴であり、私が背負ってきた全ての証。

 震える手で印に触れた瞬間、世界が砕ける音が響いた。

 暗闇の裂け目から、かすかな光が滲む。まだ出口とは言えない、小さな希望の輝き。しかし確かに、そこには「次へ進む道」があった。

 私は深く息を吸い込み、滲むバツ印の中へと身を投じた。
 たとえ永遠のループでも、いつかこの呪いを断ち切るために。