誤字や脱字すら愛おしい
そんな日々が、いつしか二人にもありました

三作目「純文学」
詞曲:もの憂げ(@monouge_)
https://twitter.com/monouge_
絵: ツキイロ(@Hinoirosan)

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「あいしてた」
そんな五文字に収まってたまるか 長編小説なのに
君からの返事は 決まっていつも
つぎはぎ シンプルで なんか悔しくなる

Hの濃さじゃ到底描けない Bでもまだどこか物足りない
君を描けない人生なんかいらない
どうかしてる 升目も罫線も飛び越えていきたい
句読点すら逃げ出すような 裸の愛をください

もっと素直に言えたなら 深読みせずにイケたなら 
バカみたいだ 君だけでよかった
書いては消して繰り返し 最後の強がりで五文字 
送信した「さようなら」

出逢った頃は書き順を守って 正しく愛し愛されていたよね
ショートカットできない思いで
書き殴る黒は仰々しく 編集者も読者も置きざり
滲んだインク擦れる頃 純文学も終わる

もっと素直に聞かせてよ 推敲せずに出していいよ 
バカみたいだ 私じゃダメなのに
何も語らぬ横顔 ずるいよ やっぱり五文字だけ
返ってきた「ありがとう」

誤字や脱字すら愛おしい
そんな日々が いつしか二人にもありました。
パタンと音たて 君は消えてった 付箋つけたまま…

今日は素直に言えるかな 文脈なんて無視してさ
「だいきらい」と
この期に及び強がって 薄い五文字を返しても 
情けないな 行間が喋りだす…
脈絡もまとまりもない ただの駄文だな

割愛できない渇愛が 君を描く 愛を描かせる

「あいしてる」

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inst:https://piapro.jp/monouge